逆行

いままでの読書記録を書いた手帳が見あたりません。

仕方がないので、とりあえず今日読んだ新しい本から逆行するように書いていこうかと思います。
いや、いろいろ順番とか考えてたらなんにも書けないと気が付いたので。

で、今日まず読んだのが松浦寿輝「花腐し」(集英社文庫)だったんですが。
芥川賞受賞作だったんですね。読了後、bk1をみて知りました。
中編が2編入ってるんですが、まず受賞後第一作という「ひたひたと」。
カメラマンである主人公が川の近くの街を彷徨ううちに、実年齢のはずの壮年から少年に、また青年へとするりと入れ替わっていく。それほど違和感を感じないのが見事だと思う。同棲している女と父親の影が相互に見え隠れする。幻想味を帯びつつも、あくまで皮相の現実からも離れないまま、まるで水が巡るようにもとの場所へと戻っていく。

表題作であり受賞作である「花腐し」は、40代の主人公が悲惨な現実を背負いつつ、ふと関わることになった30代の怪しげな男の部屋を立ち退きをせまるため訪れたことから話が始まります。20代の風来坊のような女性や薬物効果をもつある植物が、男一人しか住んでいないまるで根腐れしはじめたようなアパートを彩り、まるで磁場のような引力を主人公に与えはじめます。どうしようもないところからはじまって、誰もどこに行き着きようもない話なのですが、過去の回想シーンや主人公達のさりげない会話や奪われるように始まる性愛のシーンなど強い印象を残します。二作を比べるとこちらの方が好みかなあ。

次に、麻城ゆう「休み時間の魔術師」(ティーンズルビー文庫)ですが。
はちゃめちゃSFというか。ある意味冒険譚というか。
まっとうな高校生である主人公の少年が、マッドサイエンティストな校医に振り回される話です。この校医の先生が、一見女子高校生に見紛う程の美貌と見事なスタイルの持ち主ながら、独自の信念のためなら遺伝子操作も辞さないというとんでもない方で。
ただ、ある意味正義漢なのが逆に始末に負えないという。
それぞれ完結した短編で、1時限目から6時限目+放課後の全7話。
段々エスカレートかつパワーアップしていく校医の先生が素敵すぎでした。
なるしまゆりのイラストもまた合ってたなあ…。

というわけで最新読書日記でした。
途中でパソコンが勝手にログオフしだして、大変だったよ(いや多分なんらかのボタンを押してるんだろうがよく分からないっす)。
途中保存してて良かった…。途中保存したところを見られた方はごめんなさい…。

正確に書くと11月4日と5日分

日日日の「狂乱家族日記」を一気読みしたですよ。
1〜3まで。
続き物なので一気に書きます。

ジャンルは近未来SFなのでしょうか。それとも家族もの?

まず壱さつめ。いわゆる起承転結の起。
家族が(初めて)出会うところからです。
何といっても凶華のキャラが強烈。
見た目を裏切る言動と行動力。
そして潔いばかりの自分中心主義にある意味打たれます。
他の家族も意表を突く方ばかりです。
(ただ最初にカラーページを見ちゃうと驚きが半減するかな。全員集合してるから。できれば読んだ後じっくり見るのがオススメ。でもかなりx6sukeさんのイラストは合ってると思います)
一番まっとうと思われる凰火にとってはこの家族は天国なんだろうか地獄なんだろうか。
三人称による物語部分とそれぞれの章の導入には日記部分あり。
日記部分はそれぞれ家族のひとりが書いているのですが。
これがいかにもらしくて良いです。
ホントこれで19歳新人ってところが凄いよなあ。

最初はばらばらだった家族が、とある家族を助ける為に立ち上がり、団結していきます。
ひとりひとりは不揃いながらもまとまることで、上出来な結末までくっつけて。
ほんと掴みはオッケーって感じで面白かったです。

次に弐さつめ。承の部分ですね。
遅ればせながらも新婚旅行に家族全員で出かけた狂乱家族を待ち受けるものは!
このあたりから凶華以外のキャラも立ってきたなあという感じです。
いろいろ力関係も感じたり。
家族の秘密の一端や、家族が出来るきっかけである謎の一端も少しだけ見えてきます。
しかし、それ以上に今回は舞台が家でないだけあって、かなりストレートな冒険ものになっています(新婚旅行の筈なのに…)
今回のヒロインはあの子かなあ。
そして影のヒーローは寡黙なあの人に決まりでしょう。
そうして受難者ナンバーワンはあの人かなあ(可哀想に…でもある意味幸せなんだろうか)

そして参さつめ。起承転結の転。
凰火の同僚であり、それ以上に重要な意味を持つ死神三番が登場です。
事実上凰火を巡る死神と凶華の一騎打ちとなります。
そして某重要人物も絡みます。
たしかに物語はある意味ターニングポイントを回ったと言えましょう。
舞台は遊園地なのに、人死にが出ないのが不思議なくらいの迫力です大活劇ですほんと大変です。
しかし、物語の重要な位置を占める3人の秘密が分かってくるに従い、いろいろしみじみしたり、物語の先が知りたくなったり、いろいろ考えさせられました。

後書きで著者が行っていたように、4巻以降これから長い結末が始まるらしいんですが。
早く読みたいような終わってほしくないような。
ちょっと複雑な気持ちです。
けっこうはまったみたいです。

さあてつなぎに
家族つながりでパソゲー「家族計画」でもするか(それはなんか違う…)

都筑道夫愛読会その0

手帳、見つかりました。
部屋にありました。良かった。

それで、書きためていた読書メモをみてみたら、よく考えたら今年の7月中にも都筑道夫の小説を読んでいるではありませんか。

怪奇小説という題名の怪奇小説」(集英社文庫

…どうしてこんなに面白い小説の記録を7月中に書きそびれていたのだろう。
そして、どうして11月の日記に「都筑道夫愛読会その1」などと題を付けてしまったのだろう。かえすがえすも困ったことです。
しかたないので、「都筑道夫〜その0」ということで書いていきたいと思います。
(素直に2番でもよかったかもですが…)

怪奇小説は数多く書いてきた著者ですが、数百編にのぼる怪奇小説の多くがショートショートと呼ばれる短いものや、やや長めの短編小説であります。
(短編小説も切れ味が鋭くて面白いのでオススメっす。確か一番最初に読んだのが「悪魔はあくまで悪魔である」というショートショート集だったのですが、題に惹かれて買ったらこれがまた面白いのなんのって…長くなるので略)
そのうち長編の怪奇小説は数編しか書かれていないのですが、そのうちの貴重な一作であります。
そしてなんというか実験的な作品でもあります。

著者とおぼしき主人公が人捜しをしている上で奇妙な体験をすることになるのですが、主人公の一人称の地の文のほかに、作中小説あり、翻訳調のところもあり、ハードボイルドも幻想小説怪奇小説も含まれているという。そして告発されない犯罪も含まれていたりします。そして章毎に謎が増えたり広がったりします。
すごいっすよ。
そんな設定なら読んでいるうちに頭がくらくらしてくるはずなのに、すんなり入り込めるのは稀代の文章家である都筑道夫のお陰でしょうね。

そしてラストのなんともいえない余韻が残る雰囲気が好きです。
なんだか書いているうちにネタバレしそうなのでこの辺りで。
とりあえず読んでくれ、としかいいようがないです。

怪奇小説好きで我ながらすれっからしだと思う方には特にオススメ。

2005年4月の読書日記(総集編)

こちらの日記の更新がまた間が開いてしまいました。
忘れないうちに4月分14冊をまとめて書くことにします。
(あともう一冊読んだ気がするんですが、思い出せないんですよね…。思い出せたらこっそり追加しときます)


4月2日
伊丹十三「ヨーロッパ退屈日記」(新潮文庫
エッセイ集。
伊丹十三が表紙、挿絵とも描いていて美麗です。
絵の上手さにびっくりしましたが、もともとデザイナーもされていたそうです。
表題は山口瞳命名山口瞳が書いた推薦文も収録されています)。
文章、生活スタイルとも独自の美意識を貫かれていて、格好良かったです。
この本を読むと、つい色々真似してしまうんじゃないかなあ。
そう、スパゲッテイの上手な食べ方とか。
(私もやってしまいました。皿にスペースを作っておいて、フォークを皿から離さずにくるくると。まだ練習中…。あと絶対音を立てちゃダメだそうです)
ほんとに多才でダンディな方だったんだなあと思いました。


4月3日
中村うさぎ倉田真由美「うさたまのホストクラブなび」(角川文庫)

まあ、なんというか企画モノですね。
中村うさぎ倉田真由美、そして編集者の深澤真紀のコンビで、東京を中心に日本全国のホストクラブを練り歩くという。
この企画でこの三人のコンビができたというだけでも凄いことかもしれないなあと思います。(三人連名の公式HPうさたまCOMはこちら。ttp://www.usatama.com/)
三人とも男性の格好良さの基準がちがうあたりと、ホストクラブでフリの客ではなく、取材ということがばれそうになって慌てているあたりが面白かったです。
あと、日本全国行った先々での料理がとても美味しそうでした。
グルメブックとして読んでも可(用途違いすぎ…)


4月4日
今野緒雪マリア様がみてる 妹オーディション」(コバルト文庫

シリーズ物第19作目(前後編を分けると21作目)。
学園コメディ。女子校モノ。
なかなか(学園内の)妹が決まらない祐巳由乃ですが、いっそオーディションを開くか!という由乃のやけっぱちなことばで幕が開きます。
もともと妹候補が二人いる祐巳と、候補もいないうえ、某先輩に急かされて焦っている由乃
が対照的で面白かったです。
祐巳もどうやらこの回で妹が一人に絞れて来た模様。
由乃は妹が出来たような出来ないような。
あと二人以外にもいろいろ妹らしき人が出来た人も増え、次あたりで二人とも正念場かなあ。
なかなかテンポが良くて面白かったです。


4月11日
モー・ヘイダー著 小林宏明 訳「死を啼く鳥」(ハルキ文庫)

サイコサスペンスもの。長編。
幼い頃に兄が行方不明になったことがトラウマになっている刑事が主人公。
奇妙な特徴のある連続猟奇殺人を追いながらも、手がかりも少ない兄の影を追わずに居られない。
恋人が居るが心は離れかけており、聞き込みの最中に知り合った女性へ次第に心惹かれていく。
話は兄の話と事件を絡めながら二転三転し、恐るべき真相へと突き進んでいく。
多少猟奇的な描写はありますが、完成度は高いです。
なぜ、死体に特殊な加工をしたのか、知ったときはちょっとぞくりとしました。
羊たちの沈黙」とか映画「セブン」とか好きならオススメです。


4月17日
西澤保彦「両性具有迷宮」(双葉文庫

ううむ。セクシャルSFミステリコメディとでも言えばいいのかなあ…。
ええと、主人公が森奈津子という実在の小説家さんをモデルにしているだけに、実在の人物も結構出てきます。倉阪鬼一郎さんや思いがけず図子慧さんが出てきたのがちょっと嬉しかったり(ファンなので)。
話は、とあることから森奈津子さん含む女性多数が不完全な両性具有になってしまったところから始まります。
設定がぶっとんでいますが、単にSFなだけで。
そんな設定よりも森奈津子さんの動じなさっぷりが見事です。
いちおうミステリなだけあって殺人も起こるのですが、そして意外な犯人というのもいるんですが。
それよりも、森奈津子さんを巡る女性同士の恋愛遊戯のほうが印象的だったりします。
怪作だなあ。でも面白かったですがね。


白洲正子「おとこ友達との会話」(新潮文庫

対談集。
表題につられて買いました。
やはり若造には、おとこ友達とはなかなか書けないですよね。
それだけでなんだか貫禄を感じます。
白洲正子さんがお年を召してからの対談のようですが、どんな一流の相手にも動じず、対等に話をされるところが格好良かったです。
やはり確固とした美意識を持たれている方は素敵ですね。
対談相手は赤瀬川原平ライアル・ワトソン、養老猛司など、計9名です。
個人的には前登志夫さんとの2回目の対談で話されていたお稚児遊びのパワー辺りが白洲正子さんの独壇場という感じで面白かったです。


4月21日
津原泰水「綺譚集」(集英社

短編集。全15編。
なかなか濃い話が多くてバラエティに富んでいますが、どれも面白いです。
恋愛譚あり、ホラーあり、小説家村山槐多や牧野修をテーマにしたものあり。
とくに庭に魅入られた男たちの話「ドービニィの庭で」と遠い初恋の話「約束」が印象的でした。
文章も端正で読みやすいです。



4月22日
森奈津子「地下室の幽霊」(エンタティーン倶楽部)

ティーンズ向けミステリ。
主人公は小学生の活発な女の子で、クラス替えで知り合ったクールな女の子とともに幽霊の謎を解いていきます。
二人の女の子が対照的ながら、どちらも他人を思いやるいい子だったり。
幽霊の謎を追っているうちにそこに住んでいる年配の女性と仲良くなったり。
主人公の女の子の心の揺れを丁寧に書いてあって好印象でした。
なんというか可愛い話でした。


4月23日
柾 悟郎「ヴィーナス・シティ」(ハヤカワ文庫JA

近未来SFです。サイバーパンク
今よりももっとリアルなネットワーク世界で、現実では女性でありながら、男性として生きる主人公が、ネット上で思いがけなく知り合った女性ジュンコと恋に落ち、ジュンコの陥った困難から助けようと、試行錯誤する話です。
SFなんですが、結構ミステリ的な仕掛けがあって面白かったです。
ネット世界と近未来の現実世界との描写がなかなかリアルで、ネットとリアル世界が交錯し、しだいに物語は加速しつつ、謎の解明へと向かっていきます。


4月24日
津原泰水「赤い竪琴」(集英社

恋愛小説。
30代の女性が、とある手紙を介して楽器を作る男性と知り合い、次第に彼に惹かれていくが…。
押さえた描写ながら、次第に主人公の恋愛感情が高まっていくさまと、それでも積極的に進んでいけない事情を絡めながら、あくまで押さえた筆致で二人の恋を追っていくところが良かったです。
挿入される文語調の手記も効果的だったと思います。
しかし主人公も落ち着いていそうで、結構うっかりものですね。
そして一日7食って…。
(詳細は本を読んでくださいね)。


田辺聖子「人生はだましだまし」(角川文庫)
エッセイ集。
適度に肩の力を抜いた話で面白かったです。
まあ人間やれる範囲でやればいいんだね。
気負っても仕方ないと優しいことばで書いてあります。
苦労してされてきたからこそ、言えることなんでしょうね。


4月27日
安野モヨコ美人画報」(講談社文庫)

エッセイ集。
著者による絵付きの解説あり。
旅行したり、髪を切ったり、ダイエットに励んでみたり。
美を求める旅は厳しいんだなあと思いました。
著者の自分つっこみぶりも面白かったです。


モー・ヘイダー「悪鬼の檻」(ハルキ文庫)

長編ミステリ。「死を啼く鳥」の続編。
未だに兄の死にとらわれた主人公は、よりストレートに、より過去の兄の事件に関わりのある少年連続レイプ殺害の謎を追っていくことになります。
行方不明となっていた兄の謎がいちおう解けるんですが。
どうも兄の扱いに不満あり。
あれでは少しひどすぎるとおもうが…。


ストリーテリングはあいかわらず巧みですが、細部の取り扱いにどうも疑問点が残る気がする。
主人公と恋人との関係もやや釈然としないし…。


4月29日
宮藤官九郎河原雅彦「河原官九郎」(角川文庫)

企画モノ。
とにかく二人でなんかやってみようかという。
演劇ぶっくという演劇の雑誌に載った割に、まったく演劇とは関係ないことを喜々としてやり続ける二人。
デートしたり、バイトしたり他人の舞台に飛び込んでみたり。
まだ、二人とも売れ始めた頃だったからこんな無茶が出来たんだろうなあと、ちょっとしみじみ。
全然世の中の役には立たなさそうですが、なんだか面白かったです。


まあ、こんなところです。


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最近読んだマンガなど(失踪日記と監督不行届)

そういえば、読んだマンガについてはあんまり書いてなかったなあと思いつつ。


いや実際は小説以上にマンガを読んでたりするんですが、収集がつかなくなりそうで二の足を踏んでいたんですけど。
たまにはマンガについても書いてみてもいいかなあと(はてなダイアリだと書きやすそううだし)。


まず、吾妻ひでお失踪日記」について。


帯にも書いてあるように、この話は「全部実話です」。
これは、漫画家の吾妻ひでおが、マンガに行き詰まったまま2度失踪してしまった顛末をあくまで淡々と描いた作品なんですよ。
ホームレスの生活を送ったり、ガス配管工になってみたり、家族の元に戻ってはみたが、アルコール中毒がひどくなって、精神病院に入院したことなど。
あまりに悲惨すぎることを除いてあるそうですが、それでも、「漫画家というのは、そんなところまで逃げなければならないほど辛いのか」と、なかなかきついものがあります。
それでも、お涙ちょうだいというわけでなく、むしろそんな生活のなかのコミカルな部分を強調して描いてあるので、むしろ面白いです。
こんなに面白くていいのかしら、と思うくらい(つい読みふけったせいで、某資格取得のための授業に行くのが遅れてしまい、むしろ自分が失踪したくなったのは、自業自得ですな…)
私は吾妻ひでおのマンガというとほとんど読んだことがなく、むしろ「ひでおと素子の愛の交換日記」という全然吾妻ひでおにとっては本筋ではないであろう、新井素子のエッセイと吾妻ひでおのマンガの交流試合で知ったくらいですから(どうでもいいがこの本で出てきた「箸が走っとる」というセリフが未だに忘れられない)、漫画家としての吾妻ひでおの正当な評価というのは下せないのですが。


ここまで描ききったところは本当に凄いとしか言いようがないと思います。


あと表紙はぜひ外してみるといいかと思います。オススメ。


監督不行届
漫画家安野モヨコによる、庵野秀明監督とのおたくな結婚生活を描いたエッセイマンガです。
(一応、※このマンガはフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。と但し書き付きですがね)
なんですが。
監督はともかく、なんで安野モヨコロンパース(2等身)なんだろう。
いや可愛いですけど。
超オタクな監督が少しずつ普通人に歩み寄っていき(それでも本質はオタクなままですが)、隠れオタクだった安野モヨコが立派なオタ妻になっていく過程がなんともおかしいです。
いろいろ議論するわりになし崩しになるあたりがほほえましいです。


そして、巻末のオタク用語解説がやけに熱かったです。
わかるのとわからないのが半々くらいかのう。
これは誰が書いたんだろう。安野モヨコ自身だとすると凄いなあ。
あと一度は表紙を外してみてもいいと思います。可愛いので。

最近読んだ本について

3月19日(金)〜21日(日)は、春分の日で連休でしたが、私にとっては久しぶりの読書週間でした。
3日で11冊も読みました。
うち5冊が津原やすみ名義(X文庫。わたしのエイリアンシリーズ4冊とシリーズ外で一冊)の本で、もう1冊は津原泰水の本(「少年トレチア」集英社文庫)。単行本を買ったが、読む前に文庫落ち。つい表紙・解説の萩尾望都につられて文庫も買って、文庫を読了。)という、一人津原祭りをやってしまいました。あとエイリアンシリーズを1冊読んだら津原祭りは一段落です(ほんとは部屋のどこかに「ロマンスの花束」(ホワイトハート)もあるはずなんだけどね。 
あとは「赤い竪琴」も読まねば…。)


小野不由美の本も2冊(「黄昏の岸 暁の天」「華胥の幽夢」を読んだなあ。これでやっと十二国記の既刊は読破しましたよ。あとは、小野不由美の単行本で未読なのは「屍鬼」と「くらのかみ」だけなんだが。
いや、どちらも持ってはいるんですが。
屍鬼」をハードカバーで買っちゃったので、重い…。
しかし、今回「黄昏の岸 暁の天」を読んで、ようやっと「魔性の子」と「風の海 迷宮の岸」の時期の違いに気が付きました。遅いよね…。


そして今回初めて松浦寿輝の小説を読みました。
「そこでゆっくりと死んでいきたい気持ちをそそる場所」(新潮社)
ハッキリ言って題買いしてしまいました。
この題(と表紙)だけでも買って損はないかなあと思っていたのですが。
小説もおもしろかったです。短編集ですが、どの話も濃いというかすごく印象深かったです。
なんというか硬質で独特の世界観を持っている方なんだなあと思いました。
なんとなく、日野啓三赤江瀑というまったく異なる作風の作家さんを思い浮かべたりして。
そのうち松浦寿輝祭りもやってみたいです。


今は黙々と詩集(松浦寿輝詩集 (現代詩文庫 101))を読んでいます。
いや「そこでゆっくりと死んでいきたい気持ちをそそる場所」で自作の詩をモチーフにした作品があったのですよ。それで読んでみたいなあと思ったので。
詩の評価については、はっきり言ってよくわからないのですが、わからないなりになんだか言葉の流れが素敵だなあと思います。ときどきコミカルだったり、なんとなく艶めいた感じだなあとおもったり。


森奈津子はどの作品も一定のレベルを保っていて面白いです。
でもなんというかもっとSF色の強いのが読みたいなあと思わないでもなかったり。
でも、多分これからも買い続けるだろうなあとは思いますが。
「ゲイシャ笑奴」では生体人形をモチーフにした連作が印象的でした。


というわけで落ちもないまま、終わります。
うーん、読書日記とここの日記がなんとなく重複してるんで、そのうち統合したいなあと。


たぶんこれからはこちらでの更新が中心になるかと思われます。
(まあ、まだ検討中ですが)

ひさびさの古本屋

古本屋は、好きですか。



私は結構好きです。

普通の本屋さんとは別な時間が流れているような、品揃えの違いがあるところが良いなあと思います。

たいてい新刊より安めに買えるし。



でもなあ。

普通の本屋さんよりも安く買える場合が多い分、ついついリミッターが外れてしまいがちなところが、とても危険なんですよね。

ただでさえ、未読の本が貯まっていく状況なんですが(汗)



昨日も、実はそうでした。

いや出張に行って、夕飯までちょっと時間があったんで、散歩がてら本屋を探しに行ったんですよ。

そしたら、ちょうど古本屋さんが目についたので、はじめは普通の本屋さんを探していたのに吸い込まれるように入ってしまいました。



そしたら。

ものすごい掘り出し物(私にとっては)を見つけてしまいました。
津原やすみの私のエイリアンシリーズ12冊。講談社X文庫。

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しかも1冊50円ですよ。

12冊買っても600円ですよ。

はっきり言って翻訳ミステリ1冊より安いっすよ。



津原やすみは、津原泰水少女小説家時代に使っていた名前で、どんな話を書かれてるか気になっていたのですが、絶版のため読めなかったものです。

私が津原作品を読み出したのは、初めて名前を津原泰水に変えて「妖都」という作品を書かれた時からだからなあ…。

講談社X文庫で出版されて、いま読めるのはルピナス探偵団シリーズのハードカバーの新装版「ルピナス探偵団の当惑」くらいじゃないかなあ。

これは学園本格ミステリの佳作でした。



一方、私のエイリアンシリーズはSFラブコメディとでした。

地球に某任務のため降りてきた少年と、彼に出会った普通の少女を軸に、クラスメイト家族そしてエイリアンたちとの交流や冒険の日々をほぼ少女(ヒロイン)視点で丁寧にユーモラスに描いたものです。

それで出張で泊まっていたホテルで読み出したらはまってしまって、一晩で6冊一気読みしてしまいました。

一応勉強用のテキストも持って行ったのですが、開きもしませんでした(汗)

少女小説という枠組みは守りながらも、ミステリぽかったり、SF的要素もちゃんと入っていたりして楽しめました。

しかし…あとがきはなんだか中性的な書き方をされていて、(津原泰水さんは男性なのでそれが分からないようにとの配慮かと)苦労されてたのかなあと思うと、ちょっとしみじみしたり。

確かに、この小説は(あとがきを含めて)読んでいても著者の性別は分からないっす。凄いッス。

まあ、ヒロインたちの音楽の趣味が渋すぎだとは思ったけどね。

モンキーズとプリンスとクイーンとU2その他…)

しかし、12冊買ってもまだ少女小説家時代の30冊の半分も行かないのか。

…ぼちぼちと集めようかなあ。



あと。

かなり好きな小説家である日野啓三の単行本が100円だったので、つい買ってしまいました。

砂丘が動くように」。

文庫版は持ってるんだけどね。

好きな話だしね。

しかしこの値段は安すぎ。面白いのにさ。

でもおかげで安く買えるし…。という実に矛盾した気分でした。

というわけで、久しぶりの古本屋はとても楽しかったです。