都筑道夫愛読会その0

手帳、見つかりました。
部屋にありました。良かった。

それで、書きためていた読書メモをみてみたら、よく考えたら今年の7月中にも都筑道夫の小説を読んでいるではありませんか。

怪奇小説という題名の怪奇小説」(集英社文庫

…どうしてこんなに面白い小説の記録を7月中に書きそびれていたのだろう。
そして、どうして11月の日記に「都筑道夫愛読会その1」などと題を付けてしまったのだろう。かえすがえすも困ったことです。
しかたないので、「都筑道夫〜その0」ということで書いていきたいと思います。
(素直に2番でもよかったかもですが…)

怪奇小説は数多く書いてきた著者ですが、数百編にのぼる怪奇小説の多くがショートショートと呼ばれる短いものや、やや長めの短編小説であります。
(短編小説も切れ味が鋭くて面白いのでオススメっす。確か一番最初に読んだのが「悪魔はあくまで悪魔である」というショートショート集だったのですが、題に惹かれて買ったらこれがまた面白いのなんのって…長くなるので略)
そのうち長編の怪奇小説は数編しか書かれていないのですが、そのうちの貴重な一作であります。
そしてなんというか実験的な作品でもあります。

著者とおぼしき主人公が人捜しをしている上で奇妙な体験をすることになるのですが、主人公の一人称の地の文のほかに、作中小説あり、翻訳調のところもあり、ハードボイルドも幻想小説怪奇小説も含まれているという。そして告発されない犯罪も含まれていたりします。そして章毎に謎が増えたり広がったりします。
すごいっすよ。
そんな設定なら読んでいるうちに頭がくらくらしてくるはずなのに、すんなり入り込めるのは稀代の文章家である都筑道夫のお陰でしょうね。

そしてラストのなんともいえない余韻が残る雰囲気が好きです。
なんだか書いているうちにネタバレしそうなのでこの辺りで。
とりあえず読んでくれ、としかいいようがないです。

怪奇小説好きで我ながらすれっからしだと思う方には特にオススメ。