恐怖について(超怖い話とひぐらしがなく頃にと暗黒館の殺人)
普通の日常だと思っていたのに、実はホラーな要素が隠されているというのは結構怖いよなあ。
などとhttp://chokowai.netcinema.tv/をみたりしつつ考えてみる。
ネットシネマ超怖い話は原作小説の著者である平山夢明さんを案内人として、富士樹海などへの侵入記録と、既刊の超怖い話からの映像化が交互に出てくる構成。平山夢明さんってこんな人だったのかというのも結構興味深かったりして。
(すでに公開が終わった第3話なんかも面白かったんですがね。富士樹海にいろいろな先人の残骸が転がっている状況を淡々と解説しながら、先頭を行く平山夢明さんと、スタッフ御一行)
今公開されてる第4話もすでに読んでるはずの話なのに、映像で見るとまた新鮮で面白かったです。やっぱシャワー中って結構怖いよなあ。
そして。
「ひぐらしのなく頃に」(公式ページは07th Expansion.net)は今話題のサウンドノベル。
もともと同人ゲームなのですが、まだ結末の記されていない4話の総集編と、ひとつだけ明かされた最新作の解答編があり、どちらもよく売れてるみたいです。
作品紹介はとらのあなHPとアニメイトHPより。
http://www.toranoana.jp/higurasi/
http://www.animate.co.jp/newrelease/newitem/game/game0125/game0125.html
昭和50年代の日本を舞台に、ちいさな山村である雛見沢村を舞台に起こる連続怪死事件の謎を追え!
というのがテーマみたいなんですが。
私もまだ体験版(4話のうちの1話だけ)をやった状態なんですが。
これがまた。
いろいろな意味で衝撃的でした。
最初は思った以上にキャラがぷにぷにしてて吃驚しますが。
(特に手。なんかグローブでもはめてそうなぷにぷにさ加減に、最初はちょっと動揺しました)
慣れてくると次第に可愛くみえてきます。キャラ造形も個性的だし。
まず出てくるのは、(多分)小中学校が合同になっている村の小さな分校。
主人公である少年は転校生としてやってきて、そこで女の子4人の仲良しグループと親しくなります。いきなり変わった環境に戸惑いつつも、少年はその生活を楽しんでいます。学年も性格も違う5人組によるどたばたしながらも楽しい毎日が描かれます。それと平行するように、村で起こった連続怪死事件にいやおうなく巻き込まれていくことになるのです。
話は基本的に一本道。
途中tipsというかたちで、番外編や関連の話が読めるようになっています。
話は結構ボリュームありました。体験版だからそう長くないなあと思っていたが実は4時間超え…。私も読むスピードはそんなに遅くはないと思うんですけどね。
凄く先が気になる。
だんだんと暴かれていく村の様相。
思いがけないところで、思いがけないストーリー展開になっていき。
そうして…(何を書いてもネタバレになりそうなんで省略。良かったら体験版でやってみてね)。
たぶんコレは怖いもの見たさなのだろうか。
背筋をぞくぞくさせながらもでも、先が気になって仕方なくて。
ついつい夜更かしして、最後まで一気読みしてしまいました。
それで読み終わったときにはもう決めました。
これは買うね。
「ひぐらしのなく頃に 」本編だけでなく。
解説本「特別編 雛見沢村連続怪死事件私的捜査ファイル(仮)」も。
最新版の「ひぐらしのなく頃に 解」まで一気買いだー。
…とはいっても地方の悲しさ。
いつ東京に買いに行けるか分からないのが微妙なところなんですが。
通販も高いしなあ。
まあ近いうちになんとかして手に入れる予定です。ええ。
で、そこから。
どうやって綾辻行人「暗黒館の殺人」に行くかというと。
あの話は本格ミステリでありつつも、ある種のホラーでもあると言いたいわけです。恐怖が世界をつなぐってことですね。
あの怪しげな人たちばかりが出てくる館シリーズのなかでもトップクラスに怪しい人たちばかりが出てくるんですよ。当主と執事、そして山のようにいる一族郎党(双子含む)。彼らに仕える使用人や医者。そして謎の訪問者…。
そして皆が思わせぶりなことしか言わないんですよ。特に前半は。
挿入される謎の台詞の数々。話のテンポも心持ち抑えめだし。
それが上巻の終わり頃から話が動き始め、下巻になると一気に危険な展開へと。
そして驚愕の事実が。
…いやすっかりだまされた訳です。ある程度は見抜いたんだけどなー。
ラストですっきりしたと見せかけてまだ伏線が残っているところもステキでした。
いや集大成と聞いていたので、この本で館シリーズが終わったら寂しいなあと思っていたのですよ。
この館の異様なまでの重厚な雰囲気がなければ、この話もまったく精彩を欠いたのではないかと思います。
暗黒館という強力な磁場でしか成り立たない話として、館シリーズの中でも私の中ではトップクラスの地位を保っています。
読後感がこれほど充実していた話も少ないなあ。
さて、こうして3つの恐怖に彩られた物語を紹介しましたが。
それにしても。
どうしておそれつつ、ひとは恐怖の物語に惹かれるのでしょう。
それは平山夢明さんのネットシネマに出てくるテーマでもあります。
私が思うに、それは矛盾を抱えたひとの欲望と恐怖のかたちなのかもしれません。
自分の見ている世界はあくまで表層なものであり、常になにかをを隠し持っている。
そういう恐れを感じたりはしないでしょうか。
ふと振り向くと見慣れた世界は音を立てて薄皮を剥がし、見知らぬ恐ろしいものに変容しているのかもしれない。
変わってほしくはない。
でも一目で良いから見てみたい。
そう、いつか見てしまうのなら、どうして今ではいけないのだろう。
ホラーを読むことはある意味、来るべき未来への、多分死への予行練習といえるのかもしれない。
…。
まあ、いまはそういう結論に達しましたが、実際はそれだけではない気もします。
いつかまた再考してみたいものです。