館強化月間その7 時計館の殺人

前回更新より10日近く間が空いてしまいましたが。
現在、最新刊「暗黒館の殺人」に入りました。
(つまり、「時計館の殺人」と「黒猫館の殺人」を読み終わったわけですよ。やっほー)


しかし重いっすね、暗黒館は。物理的に。
寝転がるのはともかく仰向けで読むのにはちと不向き。


まあそれはともかく「時計館の殺人」です。
第45回推理作家協会賞受賞作です。


語り手は第一作「十角館の殺人」にも登場した江南孝明(24歳)(と、よく考えたらもう1人いるな)です。
大学院を卒業した彼が編集者となり、雑誌「CHAOS」(オカルト雑誌)の取材のためいろいろ噂のある「時計館」を霊能力者たちを連れて訪れたことを契機に、事件が起きます。


時計館は旧館と新館があり、旧館内で右往左往する江南たち計9名と、新館に来る鹿谷門実(ともう1名)の落差があって「うおーまだ何も気づかないのか、鹿谷門実」というもどかしさと、いやおうなしに訪れる惨劇との板ばさみ的感情に囚われます。


キーワードは過去の記憶ですかね。
若くして亡くなった少女と交流のあった少年少女。
そして少女の父達の妄執。




館を巡る死の真相、そして残されたものの思いがラスト近くで明らかになっていく様は上手く組み立てられたパズルのようでなかなか見事だと思います。


仕掛けられた大掛かりな謎と、謎めいた館との連携ぶりも素晴らしいと思います。


そして、またこの館の構成も凝ってるんですよね。館の平面図見ても「確かにこれは時計館だなあ」としか言いようがないというか。
できるなら一度間近で見てみたい(勿論中には入らずに…)