館強化月間その3 十角館の殺人

ようやく一冊め、十角館の殺人を読み終わったので更新します。


(途中、つい小林めぐみ食卓にビールを2」の方を先に読んでしまいましたが。今回も豪華不思議ゲストが毎回登場でなかなか面白かったです。簡単おつまみレシピつき)


久しぶりの十角館。すごい懐かしい。
というか、ほぼ全体的に内容を忘れていたので、わりと新鮮な気持ちで読めました。
犯人誰だったかなあとか読みながら本気で考えてしまった…。
由緒正しい孤島ものです。これこそ本格ミステリの王道だなあとしみじみ思ったり。


半年前に不審な死を遂げた鬼才建築家、中村青司。
彼が設計した館のひとつ、十角館のある孤島にK大学推理小説研究会のメンバーが訪れた。
そこで次々と殺されていくメンバー。
誰が、なんのために。
そして亡くなったはずの中村青司からの手紙は、いったい何を意味しているのか。


どことなく「そして誰もいなくなった」を思い出すのは、やはり同じ孤島ものであることと、殺人予告のプレートとかあるせいでしょうか(第一の被害者、第二の被害者、そして…)


しかし、推理小説研究会のメンバーたちの会話がなんとなく著者も所属していた京都大学推理小説研究会の雰囲気をある程度は再現してるんだろうなあとか想像させるくらいリアルで、これがデビュー作とは思えないほど凝った構成になっていること、犯人の心情にもつい共感してしまう部分があることなど、読後感は悪くないなあと思いました。

巻末の故鮎川哲也の解説も、著者たちが新本格の担い手といわれたころの状況を彷彿とさせ(そして彼らへの毀誉褒貶ぶりも想像させ)、そんな中で本格ミステリを担う著者たちへの愛情の篭められた名文でありました。
読んでいてついつい身につまされました。
この解説のために文庫を買っていいかもしれない。